「なぜ美容師になったの?」とはよく聞かれますが、
「なぜ独立開業したの?」とはあまり聞かれません。
それは【美容師の将来ってのは、独立開業が夢である。】
と、そう考えている人が多いからなのだと思う。
もちろん私は独立開業だけが、美容師の生きる道だなんてまったく思ってないし、
むしろ最近では開業以外の美容人生の方を薦めたりもしてます。
開業する理由は人それぞれ
私は自分が勤めたいと思える美容室がなかったから。
付いていきたいと思える先人が居なかったから開業した。
開業した人であれば必ず知ることになる事なんですが、
雇われていた時の(特に大型店)自分の指名客の数ってのは、実は全然自分の顧客じゃなかったりする。
自分ブランドのお店になると、お客様ってのは案外ついてこなかったりするもので
例え元々務めていたお店と同じ駅で、ほんの少し駅から遠い場所に開業したとしても、
自分が期待した数字より足を運んでくれる人は、思いのほか少ないものなのだ。
そしてお客様だけじゃない、今まで良くしてくれてた業者さんなんかも
自分ブランドになると結構冷たいものです。(あれぇ?って思ったりする)
マーケットが小さくなると事で、いままで当たり前に受けていた恩恵が
なくなってしまうのが独立開業でもあるということ。
「開業前にどれくらいの指名数があれば開業後安心ですか?」
「月200名の指名数があれば大丈夫ですか?」
などなど、このような質問を受けることがある。
元々のお店の規模にもよりますが
仮に200名の指名数を捌ける美容室であれば、2~3名でやっている小規模のお店という事はないはず。
それなりのスタッフ数を抱えるサロンだと思います。
よほど後ろ盾がある人でないかぎり、いきなりスタッフ5名で始められる人はいません。
<a href="http://lenstly.blog.shinobi.jp/Entry/10/
"target="_blank">以前のコラム</a>にも書きましたが、この業界のほとんどが
2名以下のサロンであるという現実のとおり
普通自分の力だけで独立開業する時は、資本も店舗も小規模のお店からのスタートになる。
人件費もギリギリの人数でやることになるでしょう。
当然、いままでアシスタントや他のスタッフに頼って行っていたサービスなどは省略を余儀なくされる。
入客の仕方も、今までみたいにどんどんお客様を重ねては取れない。
また予約も、基本的には完全予約に近い形を取らないとまわせないだろうし、
予約のお客様が遅れてきたり、施術内容の大幅な変更があれば、次のお客様の時間にかぶってしまうこともあるでしょう。
そうなってくると、絶対に200名の指名数を捌くことなどできない。
100名の指名だってそれなりに大変な数字になってくる。
指名数というのは、そのお店のその時の状況でのみ比較できるのであって
その絶対数はどのサロンでも基準になるってものじゃない。
実際に規模うんぬん問わず200名の指名をこなすようになるのは、大変な事だろうし、
それだけの指名を受けられるというのは、それなりの実力と人気を要する必要がありる。
しかし、小規模のお店で100名の指名数をこなす人よりも
技術人気共に優れているかと言えば、そうではない。
立地条件や、人数でカバーできないサービスがありつつ
その数字を維持するのはそれなりに大変だということ。
実は自分の指名顧客と思っていたお客様も
自分だけの顧客ではなく、そのお店の顧客であることが多いという事。
開業する前はなかなかそういう事を考えるのは難しいと思うけど、
現実としてこういうモノだ。と言うのは頭に置いておいた方が絶対イイ。
それだけ開業した後に自分の顧客たちが足を運んでくれるという事は
とてもとても難しく、そしてありがたい事であると認識しなければいけないのだ。
「開業前にどれくらい指名数があった方がいいか?」
と、言う質問の答えは
多ければ多いに越したことはないが、それを当てにしないで
新しく集客する自信がなければ開業などするな!
と、私は言いたい。
そして、開業するにしてもしないにしても
本当の意味での顧客を掴んでもらいたい。
美容室ティアマットの社長であり、
髪職人でもある仲野蓮が
美容業界の事を掘り下げて語ります。
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